「性感反応を実現する最善の方法は、ピストンを
 アナログでフィードバックすることだ」(俺)
      
 

2.明日のセクサロイド


  意外と一般人からは「何それ?」と言われるが、
  セクサロイドというのは、SF作品等に登場する
  所謂『SEXロボット』のことだ。

  各々が想像するロイド像は、年代や見てきた作品により違っても
 
 セクサロイドの魅力は変わらない。

  本来なら触れることすらできない完璧な美しさ
  実際に触れられて、反応が返ってくる事実
  性交渉に付き物なリスクが皆無

  という「ロマン」と「SEX]と「オナニー」のいい所だけが集結した
  『
夢のテクノロジー』であることだ。

  それ故、鉄腕アトムを見て育った技術者がASIMOを作ったように
  セクサロイドの研究は世界で行われている。


  http://www.youtube.com/watch?v=YirTiwLfIXM

  http://www.afpbb.com/article/economy/2681159/5145676

  以上が私の同志である。どうだろうか。

  眼光鋭く瞳の奥に覚悟が滲み。
  全身を包む雰囲気からは、夢と戦いの中にある男の香りが漂う。
  これがスポーツ選手だったなら、抱かれてもいいと思ったに違いない。


  しかし、そんなセクサロイドの研究者を見る度。
  私には
気になることがある。というのも……彼らが例外なく
  
『理系でハイテクを駆使するナイスガイ』だということだ。

  
「セクサロイドの開発を最新の技術を持った理系の人間が行う
  当然のように思われるかもしれないが、
これは大きな間違いである。

  ハイテク化によるセクサロイドの未来に待っているのは、
  人々の『夢』や『希望』ではなく……。『
』と『不平等の拡大』だからだ。

  ここでいう『』とは、つまり
  理想のセクサロイドが実現する頃には、どう考えても自分が死んでいる
ということだ。
  身も蓋も無いが、セクサロイドに必要な科学レベルは余りにも高く。
  技術進歩より、我々の老化の方が速いことは明らかだろう。


  『
不平等の拡大』というのは、
  ハイテク化の行き着く
高価格化に他ならない。

  ハイテクの代名詞であるコンピューターも、黎明期には一台幾億円など珍しくなく。
  かつては、一台のコンピューターを複数人で使うというのが、当たり前だった。

  しかし、マイクロプロセッサの発明によって、タンスほどの機械は小型化し、
  コストダウンしたコンピューターは、ついに家庭にまで普及していったのだ。

  だが、ハイテクなセクサロイドは「絶対に小型化できない」人間大のボディを必要とする。
  加えて価格、倫理面の問題から大量生産も期待できないハイテク化したセクサロイドは、
  おのずから一つの結論へ導かれる。

  ――――21XX年

  ――――誰もが納得するセクサロイドが実現できるほど科学の発達した未来。
                                    (無論、我々は死んでいる)

  ――――様々な利権の絡むセクサロイドを自由にすることができたのは、
                 一握りの大金持ちとそこにコネを持つ者だけであった。

  ――――真にセクサロイドを必要とする灰色の日々を過ごす男達は、
                 その存在を知ろうとも生涯触れることもできず。

  ――――セクサロイドは、今日も持たざる者の心を暗く滲ませ、
                 持てる権力者の享楽だけを吸い取るように満たすのだった……。

  『死後』『権力者による独占』『性交渉格差の拡大』
  これがハイテク化によるセクサロイドの未来であり、現実である。

  私の同志があの瞳で見つめていたのは、果たしてそんな未来だったのだろうか。


  そんな筈はない。 見れば分かる。

  我々が本当に救いたいのは誰か。創るべき未来は何か。もはや言うまでもないだろうが、
  自分自身と自分に似た誰かに決まっている。

  間違っても、「女に飽きた」なんて抜かす金持ちやコネと権力を振りかざすジジイではない。

 『明日』『誰もが使えて』『性交渉格差による侮蔑や劣等を少しでも是正しうる』
 それこそ本当に必要な(しかし、誰も気付いていない)
理想のセクサロイドなのである



  2.ATS構想へ続く

 TOPへ戻る