5.ギミックのタブー



  「一つの出来事に対し、多種多様なリアクションが起こる」
  このような構造を持つ作品というのは、面白さを簡単に引き出すことができる。

  これは逆に言えば、作中でつまらないシーンが続く場合。
  『起こるリアクションを増やすことで、面白さをUPさせることが可能である』
  ということを意味している。

  「面白さ」という漠然としたものを、リアクションの種類(tGP)に置き換えて、
  可視化し、作業効率を大幅に高め、他作品に大きな差を見せ付ける。
  これぞ、ギミック理論の利点であり醍醐味といえよう。



  ただ、リアクションを増やす時に、注意してほしいことがある。

  リアクションのではなく。種類を増やすということだ。


  これは一体、どういうことか?
  2009年公開の映画『ROOKIES〜卒業〜』を参考に説明してみよう。

  同年の最低邦画として、度々名前の挙がる映画「ルーキーズ」であるが
  その中に、このようなシーンがある(らしい)。



  甲子園の掛かった決勝戦。

  主人公側は『あと最後の一球を投げるだけ』という状況になるのだが、
  それから次の一球を投じるまでを、この映画は引っ張りに引っ張り続け。
  そのロスタイムみたいな間中。
  思いつめた表情の人々が5分以上に渡り、延々写し出される
  という、クド過ぎる演出があるというのだ。

  実のところ、私はこの映画を見ていないので実際は少々異なるのだろうが
  ここで大切なのは、別の点にある。

  「最後の一球を投げる」という『
アクション』に対し(テンポが悪いとはいえ)
  「思いつめた表情の人々」という大量の『
リアクション』が起こっている。
  にもかかわらず、このシーンが映画通から「糞だ」と叩かれている点だ

  なぜ、このようなことが起こるのかというと、それは映画版『ROOKIES』が
  「ドラマのファン向けに作られた映画」という点にある。

  そのため人気キャラの出番を増やし、
  「相手チーム側の描写」が異常なほど薄くなった結果。

  大量のリアクションが起こっていても、そのリアクションの「種類」が
  
全てたのむ! 抑えてくれ!という
  主人公側の
1種類しか存在しないからである。


   

  1アクション
に対し、1種類のリアクションしか起こらない。
  これは「最低ギミック」であり、このようなシーンでは
  何の対比もなく。平坦なストーリーが説明的に進むだけの
  つまらないシーンになりがちである。

  

  だが、ルーキーズ場合では、1つの
アクションに対して。
  
1種類リアクション複数回起きている。

  これでは、単につまらないだけでなく。
同じリアクションが繰り返されるので、
  
テンポまで悪いという事態が起きるのだ。

  このようにリアクションの種類が被ることを
重複といい。
  通常のリアクションと比べ、テンポが悪く。一瞬話が完全に停滞することから
 
 『種類が重複したリアクション』は『0.5』tGPとして計算される
  そのため「重複」は(ギミック理論的には)
  最も留意しなければいけないタブーなのである。


  『みんなで同じリアクションをしているシーン』というのは、
  何となく盛り上がっているシーンのように思ってしまいがちだが
  実際の効果は逆で「リアクションの重複」が作者の意図に反し、
  残念な結果をもたらしてしまう。

  これは面白さが可視化されていないがために起こるありふれた悲劇なのである。

  6.物語を面白くする黄金パターン へ続く

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