4.何故スラムダンクは面白いのか?
では、ギミック構造が具体的にどんなものか説明していこう。
ギミック構造がとにかく良くできていて誰もが知っている作品。
その中でも、最高のレベルにあるのが『SLAM DANK』なのである。
傑作と名高い『SLAM DANK』であるが
ギミック理論を通すとどうして面白いのかが、実に良く分かる。
そこでインターハイ予選決勝リーグにおける陵南戦。
流川が仙道を強引に抜いてダンクを決めたというシーンをイメージしてほしい。
「ダンクを決めた」というアクションに対して ⇒味方が喜び、相手は悔しがる。
1アクションに2つのリアクション。これが現実の試合でも起こる通常の反応である。
対戦シークエンスにおいて「2tGP」は「最低ギミック」といい。
この「最低ギミック」で構成されたシーンが延々続くと、感動も何もなく。
ただの『状況報告』が垂れ流される、平坦でつまらない。
ひいては「どうでもいい」とすら思える作品になってしまう確立が格段に高くなるのだ。
逆に「1つのアクションに対して、最大何種までリアクションが起こせるか」
これを「最高tGP」ないし「潜在ギミック」と呼び。
『SLAM DANK』の良くできた設定からは、高いtGPが安定して叩き出されるのだ。
スラムダンクはなぜ面白いのか?
〜実例〜
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「流川が仙道を強引に抜いてダンクを決めた」
このアクションに対して、
まず、流川がライバル仙道に「見たか」と負けん気を発揮。
それに仙道は「野郎……」と闘志を燃やす。
さらに湘北ベンチは「さすが流川!」と湧き。陵南ベンチは「くっ……」と唇を噛み締める。
一方、桜木は「マグレだ!」と嫉妬をむき出し。
強引過ぎるとを怒ろうとしたゴリは「叱るに叱れず」何とも言えない表情。
途中加入の宮城と三井は「やるじゃねーか」と赤木に驚きや感心が混じった反応。
客席では流川親衛隊が「キャー!」と黄色い声を上げ。
晴子は目を「ハート」にして放心状態。
それを「また始まった」と横目で見る晴子の友人松井。
「また始まっちゃった……」と心配そう見つめる晴子の友人藤井。
「始まった、始まった」と軽薄な笑みを浮かべる水戸。
そして、流川に野次馬的な反応or流川親衛隊に引き気味に突っ込む、桜木軍団。
ざっと「12tGP」
これは『SLAM DANK』が凡作に比べ、
面白くする要素を10も多く含んでいることを意味している。
個人的な基準ではあるが、対戦シークエンスにおいて
「5〜6tGP」を連発できるような作品は、まず名作と断言していい。
故に「SLAM DANK」の設定が、どれだけ優秀か、お分かり頂けるだろう。
(といっても。テンポの問題で実際に描かれるのは、この内の半分程である)
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△実際のリアクション。その種類の豊富さが分かる。
「最高tGP」が高いと、場面に「対比」や「感情」が生まれるので、
それこそ作者が意図しなくとも
登場人物が何か行動を起こす度、面白くなるという状況生まれるのだ。
このように『単一のアクションで、たくさんのリアクションを引き出せる』作品構造。
これこそが、私の考えるギミック理論における、一つの理想的形である。
ただ「リアクションさえ増やせば面白くなるのか」というと、そうではない。
何事もそうだが、リアクションにも「tGP」を高めないリアクションも存在する。
次は良いギミック構造と悪いギミック構造を解説しよう。
5.ギミックのタブーへ続く
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